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平生釟三郎生誕150周年記念シンポジウムのご報告

<-おもしろく、ありがたく->

甲南学園の創立者である平生釟三郎(ひらお・はちさぶろう)氏の生誕150年の記念の節目に氏の業績を振り返って、その精神を次代へつなごうという催し「平生釟三郎生誕150周年記念シンポジウム-おもしろく、ありがたく-」(甲南学園、甲南学園同窓会主催)が2016年6月11日、甲南大学岡本キャンパスの甲友会館で開かれました。

平生氏は1866年7月4日(慶応2年5月22日)生まれ。東京海上保険など損害保険業界の近代化や川崎造船所の再建に貢献。患者本位の治療を施すために甲南病院を設立したり、相互扶助の精神に賛同して灘購買組合(現コープこうべ)の結成に協力したりしたほか、ブラジル移民の支援や、ブラジル日本との経済交流に尽力するなど、実業家や社会事業家として活躍しました。また、貴族院議員や枢密顧問官に任ぜられ、広田弘毅内閣では文部大臣として義務教育の年限延長や官学と私学の差別撤廃、師範教育の改善を提唱するなど、政治家としても活躍し、教育者としての甲南学園創立のみならず、その功績は他分野にわたっています。

この日、会場ロビーでは、平生氏の肖像画や写真パネルが飾られる中、文化会交響楽団OBを中心に今春設立された貴志康一学友協会の面々が来場者を迎え演奏。開会挨拶では、甲南学園の𠮷沢英成理事長が「残された多くの資料から今も先生の教えに触れることができる。それをどう生かしていくか。あらためて先生の目指していたものを3年後の学園創立100周年に向けた希望にしたい」と述べました。
第一部では、甲南大学法学部・安西敏三教授が「人間 平生釟三郎-パブリック・モラリストとして-」と題して講演し、「正志(ただし)く強く朗らかに」の言葉を残し、相互愛、奉仕、均等な福利享受など、万民の幸せに尽力して、公徳に生きた「パブリック・モラリスト」としての平生像を紹介。第二部のシンポジウムでは、安西教授を司会に、旧制甲南高校同窓会幹事長で大阪大学名誉教授の福井俊郎氏、甲南大学名誉教授の藤本建夫氏、京都産業大学経営学部教授の柴孝夫氏、日伯経済文化協会副理事長の栗田政彦氏、平生研究者で元東京海上日動火災保険の高田博次氏らが登壇。それぞれの立場から、先見性と奉仕の精神から、時に私財をなげうった氏の多岐にわたる偉業を振り返り、その精神を次代に引き継ぐため、学園創立100周年に向け、こうした機会を増やしていこうとの声で一致しました。最後には、旧制時代に直接教えに触れた元甲南大学学長の衣笠茂氏も登壇し「学生一人一人のことを思ってくださり、みなから愛される人でした」と振り返りました。

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