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元大学同窓会副会長の八木良三さん(昭和37年経卒)は、半生を学園創立者にならって学園に尽くした人物と言えよう。
大阪の貿易商社八木通商の社長の家に生まれ、父上の経済人としての背中を見て育つと共に、甲南大学在学中によき師に恵まれ、また証券研究会を結成して早くから活きた経済を学んだ。卒業後、日本板硝子に入社し、課長になるのも部長になるのも同期入社の内ではトップという仕事ぶりを見せた。これは平生先生の人生論である、生まれてからの20年間は親や師に導かれて能力を高める年代、次の20年間は社会にあって存分に活躍して地位も財産も得て家族も養う年代、その後は社会から得た能力や資産を社会に還元する奉仕の年代だとする教えを実践したものである。
事実八木さんの家業の八木通商は、自ら株主の地位、社業は弟さんが社長を継ぐ、資本と経営の分離をはかった。一方同窓会では幹事長や副会長に推されてその活動に寄与すると共に、学園の理事、常任理事として高い報酬を求めることなく母校の経営に寄与した。口癖として同窓会の運営は同窓生のボランティアで行い、母校の運営に参画したとしても元来はボランティアが当然だと唱えている。
母校に対する貢献の内特筆されるものは、募金への協力である。最初は昭和54年の創立60周年記念募金である。募金委員長は西直彦さん(旧制10回卒)、この時は旧制の先輩が中心であったが、八木さんは大学卒業生として熱心に推進し22億円余の募金実績を挙げたが、実質的にこれは八木さんの努力に負うところが多い。
二回目は阪神大震災の復興募金である。この時は衣笠茂元学長(旧制17回卒)が委員長となり、八木さんは実質的な中心となって努力し20億円の募金を達成した。これが震災復旧・復興の大きな支えとなって現在の学園の姿を築きあげた。
そして三回目は先年終了した90周年記念募金、学園理事会では名士の名前を連ねた募金委員会を編成したが、折からの経済不況の中で動きは鈍かった。ここに学園同窓会の募金委員長として自らも率先して募金すると共に卒業生に母校愛を説き、八木さんのラストスパートによって合計8億7千万円を達成して母校に貢献した。
しかし、この努力に対して八木さんは反対給付を求めたり、地位を求めることなく、すべてボランティアで母校に奉仕している。この姿は平生先生の人生三分説をまさに実行し、母校への無償の奉仕をした半生である。
現在は、難病も克服して甲南大学同窓会顧問、神戸老人ホーム理事長、西宮キワニスクラブ会長など多くの名誉職を引き受けて、持てる力を社会に還元する毎日を送っている。

(記:田上綱彦)

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